講義の目的:
胸椎、頚椎の機能解剖や関節の形状について学び『関節運動学に基づいた骨の動かし方や筋力強化の実技』を学ぶ事で安全で効果的な関節可動域訓練と質の高い筋力強化が患者さんに提供できるようになることを目標とした講座です。当日は基礎的な触診を確認しつつ行う内容となっており、学生や経験の浅いセラピストにもお勧めの内容になっています。
○座学
A.関節運動学について:
関節包内運動、構成運動と副運動、関節の遊びJoint Play、凹凸の法則とその例外
可動性を出した後のいわゆる「緩みすぎ」を防ぐには?
関節運動学に基づいた筋力強化法とは?
B.胸椎について
胸椎の機能解剖
胸椎椎間関節の関節運動軸や関節面について
胸椎の関節機能障害のパターンとは
上位胸椎が頸椎の動きに与える影響について
胸椎が肩関節可動域に与える影響について
胸椎の可動性がその他の関節(肘・前腕・手)に与える影響について
C.胸郭について
胸郭の機能解剖
呼吸時の胸郭の関節運動について
胸肋関節・肋横関節・肋椎関節の関節運動軸や関節面について
胸郭の関節機能障害のパターンとは
胸郭が頸椎の動きに与える影響について
胸郭が肩関節可動域に与える影響について
胸郭がその他の関節(肘・前腕・手)に与える影響について
○実技
胸椎椎間関節のモビライゼーション
胸椎伸展・回旋方向への関節運動の徒手的誘導
胸肋関節のモビライゼーション
肋横突関節のモビライゼーション
講師の市川から:
胸椎・胸郭は手関節や手指の動きや痛みに対して大きく影響を及ぼす場所です。胸椎・胸郭はいわば上肢使用時の体幹への負荷を受け止める場所であり、ここにアプローチをすることで上肢の痛みや可動域が変化することも珍しくありません。
例.母指のCM関節症の診断で関節部や母指球筋に圧痛を生じていた患者に対して胸椎椎間関節と胸肋関節の関節機能障害を治療することにより母指の痛みや圧痛が軽減した。
その個所への外傷や手術などの明確な原因が無いのに痛みや可動域制限を訴えるケースには、全体的に身体を診る視点が必要です。当日は関節・筋膜・筋の連動の3つの視点からそれをお伝えします。